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16 posts from 2008年8 月

2008年8 月30日

Willow Garageのソフト開発-オープンソースと標準

 再び、Willow Garage(ウィロー・ガレージ、WG)を訪問する機会があった。同社に最近入社した、Brian Gerkey(ブライアン・ガーキー)氏をインタビューするためだ。ガーキー氏はパーソナル・ロボット・プラットホーム「PR2」用の基本ソフト「ROS(Robot Operating System)」の開発に取り組むほか、ROSの上にのるすべてのアプリケーションの開発責任者である。WGのソフト開発はすべてオープンソースで行われている。

 同氏は、米国における移動ロボット用ソフトのデファクト・スタンダード(事実上の標準)であるPlayerの生みの親として知られる。すでにオープンソース型の開発で、事実上の標準となるようなロボット用ソフトの開発に成功している同氏がWGに仲間入りしたのは極めて興味深い。彼がPlayerの開発過程で学んだことが、ROSの開発に大いに活かされるだろう。

 実はROSと、日本のRT-Middlewareが解決しようとしている問題は同じだ。ロボット開発コミュニティーに共通のプラットホームを提供することで、みなが研究成果を共有できるようにし、開発に拍車を掛けようということだ。

 ただ、日本のRT-Middlewareが、最初から「世界標準」になることをかなり強く意識しているのに対し、WGのガーキー氏は、「ロボティクスの世界は、まだ標準化の話は早過ぎるのではないか」と考える。また、「標準」となるよりも、「大きなユーザー・コミュニティー、大きな開発コミュニティーを得ること」が先決であると同氏は語る。

 では、その「大きなユーザー・開発コミュニティー」を獲得するために、同氏らはどうしようとしているのか。同氏とのインタビューの内容をGetRobo Premiumに掲載した。(GetRobo Premiumにはパスワードが必要です。パスワード送付をご希望の方は無料メーリングリストから登録してください。)

 また、ガーキー氏との話はソフト開発の部分に集中したが、この日はPR2のハードを初めて見ることもできた。WGはもともと、今年12月にPR2をリリースする予定だったが、ガーキー氏の話によると、「2009年の第一四半期にずれこむ見通し」。WGは希望する大学、研究所に対し、PR2を無償提供、もしくは低価格でレンタルする計画だ。

 1枚目の写真はPR2のベースだが、予想していた以上に大きかった。PR2には北陽電機のTop-URG(側域センサー)をが2台、搭載される予定。マニピュレーション用にネック部に1つ、そしてマッピング用にベースに1つ。写真2枚目はネック部のTop-URG用の台。また、3枚目の写真はこうした部品の耐性試験をしている様子。こんなことまで自分たちでやっているのですね~。

Pr2_base

Neck_base

Pr_parts_testing

2008年8 月25日

アイロボットのConnectR-再・適性調査

 予定より大幅に遅れているアイロボットのテレプレゼンス・ロボット「ConnectR」のベータテスト。同社からまた!メールが届いた。ベータテストの参加希望者は「requalification survey(再・適性審査調査票)」に答えないといけないという。Robot Stock Newsによると、1万件以上の応募があったようで、その中から「適任者」を絞り込みたい模様だ。

 このサーベイの内容全文を参考までにここにアップする。

Download connectr_beta_test_requalification_survey.pdf

 新しいのは、以前はConnectRのベータテスト・バージョンを199ドルで購入できるとしていたのを、4週間の試験後に同社に返却しなければならない、と変更した点だ。このように修正した理由として考えられるのは、

①199ドルではとうてい機能的なマシンは作れないことが分かった。(というか、最初からベータ・バージョンは採算割れになる予定だったが、それにしてもコストがかかり過ぎることが分かった。)

②「購入」となると「アフター・サービス」が必要となるうえ、顧客がアイロボットの欲している情報をフィードバックしてくれるとは限らない。

③テスト後にバラバラにされるとこまる。

④いずれ発売になる本当の商品がベータ・バージョンと似ても似つかないものになった場合に面倒。

⑤やっぱり発売しない、となった時にもっと面倒。

 では試験の「適任者」とはどういう人物になるのか。質問表から見ると、まず家庭内の無線LANが整備されていなければならないようだ。ルーターの場所とConnectRを使うであろう場所の位置関係などを詳しく聞いている。私はホームオフィスで使おうとしているので、このあたりはばっちりなのだが、質問項目18の「ConnectRのソフトを修正するために、留守中でもあなたのコンピューターにアクセスしてもよいか」には、ちょっと躊躇しながらも「No」とした。だから、不適任となるかもしれない。

 よく分からないのは、応募者が「online social networker」(SNSをよく利用する人)かどうかを確かめたがっていること。これが選考過程でプラスにはたらくのか、マイナスなのか。SNSを通じてConnectRの使用感を情報発信・共有するであろう人々に使ってもらいたいのか、そうじゃないのか、知りたい。

 とにかく、私はすべて正直ベースで答えたので、あとは結果を待つのみ。

Connectr_at_von_photo

2008年8 月21日

プレオのプラスチック・ギア

 恐竜型ロボット「プレオ」を開発したUgobe(ユーゴービー)社の最高技術責任者(CTO)、John Sosoka氏がシリコンバレーで講演した。話の内容は同氏をプレオの発売直前にインタビューした時とほぼ同じだったが、一つだけ興味深い新しいことが聞けた。

 プレオの中に入っているプラスチック・ギアについてだ。会場から「ギアの音が静かだが、特別に設計したのか」という質問があり、それに対してSosoka氏は「そのとおり」とし、Rod Kleissという人物に設計をお願いしたと語った。Kleiss Gearsという会社の社長だ。極めて斬新な形のギアを作ってくれるという。サイトを見てみると、何年か前にマイクロソフトが発売したバーニーの人形にも使われていたらしい。

2008年8 月20日

ノキアのロボット

 携帯電話機の世界最大手メーカー、フィンランドのノキアが、アイロボットConnectRに似たテレプレゼンス・ロボットの開発に取り組んでいるという。BotJunkieを通じて知った。まずはYouTubeのビデオを。

 このロボット「Jeppe」の詳細はノキアの研究所のサイトに出ているが、ロボットとは呼ばず、「Domestic videoconferencing(家庭内のビデオ会議)」の研究と位置付けている。パソコンにくっついたウェブカメラを通すのではなく、新しいビデオ・コミュニケーションの形を探りたいという。

 今はNokia Internet Tabletを通じて同じWLAN内でなければ操作できないが、いずれはネット経由で遠隔操作できるようにしたいと書いてある。自律制御、周辺データの獲得&送信、も将来目標だ。

 研究所サイトの末尾に、共同研究したい大学関係者はSeamusさんに連絡を、とある。日本の大学のノウハウが活かされるのではないだろうか。半面、ノキアから通信部分で学ぶことができるのでは。

2008年8 月18日

ベンチャーのRunbot社-CGソフトをロボットに活用

 シリコンバレーにもう1社、ロボット関連のベンチャー企業がお目見えした。その名はRunbot(ランボット)。創業は2006年だが、世の中にデビューしたのは今年の夏だ。大手ゲームソフト会社のエレクトロニック・アーツの出身者たちが中心になっている。

 同社がやろうとしているのは、ゲームソフトや3次元コンピューター・グラフィックスの世界で一般的に使われているテクニックを、リアルなロボットの開発に応用することだ。具体的には、Maya(マヤ)と呼ばれる、ゲームや映画、CMの制作で使用されている3次元コンピューター・グラフィックス・ソフトを用い、ロボットのリアルな動きをプログラムしようとしている。以下はその過程を紹介するYouTubeのビデオだ。同社が作った他のビデオはここで見ることができる。

 Mayaを使う利点は、「IK handles」というツールにある。「IK」は「Inverse Kinematics(逆運動学)」の略。ロボットの腕の関節角度を定めると、腕の上部から順番に各関節の位置が計算でき、最後に手先の位置が決まるのが「順運動学」。対する「逆運動学」とは、まず手先の位置を決めてから、各関節角度を求めるという手法だ。MayaのIKハンドルを使えば、ロボットの各関節角度をいちいち調整しなくても、思った姿勢や動きを作り出すことができる。

 YouTubeのビデオではちょっと画面の内容が見づらいが、Runbotの手法の強みは、パソコン上でスライダーを動かしながら、リアルタイムでロボットにモーションを伝えられることだ。

 Runbotは設立当初、小型ヒューマノイド・ロボットを自社開発しようと試みたが、いったん挫折。現在はソフト開発にフォーカスし、ソフトの実証試験にはROBONOVAを利用している。ただ、「どんなロボットにも応用可能」(最高技術責任者のTodd Growney氏)としており、それが本当なら、こうしたアンドロイドの動きにも活用できるとおもしろそうだ。同社のNancy Philippine社長兼最高経営責任者(CEO)は、「これまではエンジニアがロボットのモーションを作ってきた。我々のやり方は、(ゲームやCGの世界で活躍する)アーティストたちに、ロボットの世界に参加する道を開く」と話している。

 Runbotを訪問し、Philippine社長とGrowney氏をインタビューした。同社のソフトについてもっと知りたい方はGetRobo Premium記事をご覧ください。(GetRobo Premiumにはパスワードが必要です。パスワード送付をご希望の方は無料メーリングリストから登録してください。)