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17 posts from 2010年5 月

2010年5 月20日

ジョージア工科大学のHealthcare Robotics Lab

 アトランタ報告をもう1本。ジョージア工科大学ではCharlie Kemp助教授が率いるHealthcare Robotics Lab(ヘルスケア・ロボティクス研究室)も訪問した。ここには、 技術的な話が非常に詳しく、いつも勉強になるロボット系ブログ「Hizook」を運営するTravis Deyle氏が博士課程に在籍しており、彼を通じて訪問の機会を得たのだ。

   この研究室は名前の通り、ヘルスケア分野で活用できるロボットの研究開発に取り組んでいる。先日、Willow Garage社が発表した、ロボット・プラットホームPR2の行き先の1つでもあり、同研究室ではPR2を使って在宅高齢者の支援ロボットの研究に取り組む計画だ。

 Travisさんは現在、UHF帯RFIDタグを活用することでロボットに家庭内の様々なタスクを行わせる研究をしている。タグを電気のスイッチや引き出し、リモコンといった部屋の中のモノにはり、ロボットはそれをアンテナで検出することで電気を消す、引き出しを開ける、リモコンを取って来るといったタスクを実行する。

Charlie and Travis

(写真:左からKemp助教授、RFIDの実験に使われているロボット「EL-E(エリー)」、Travisさん」) 

 この方法の大きな利点は、タグのIDによってロボットの行動を規定することができるという点だ。例えば、同じような形をした薬のビンが複数並んでいるような場合、ロボットはビジョンだけに依存することはせず、データベースに保存されたタグ情報を参照しながら、正しい薬を取って来ることができる。また、「このリモコンはソファの横に必ず戻す」とか、「この取っ手は右向きに回す」といった情報を細かく設定できる。

 従来の物体認識技術の問題を避けながら、ロボットに確実にタスクを行わせる、おもしろい方法だと思った。

 関心のある方はここから論文をダウンロード可能。Travisさん、Kemp助教授のほか、Hai Nguyen氏、RFIDの専門家であるデューク大学のMatt Reynolds助教授の共同研究だ。博士課程のHaiさんはレーザー光でロボットに指示する話で2年前に話題になった人だ。   

 このほか、ヘルスケア・ロボティクス研究所では介護支援ロボットのCody など様々なプロジェクトに取り組んでおり、今後、PR2を使った研究成果との相乗効果が期待される。

El-E

(写真:エリー)














RFID tag






写真:電気のスイッチの下にRFIDタグ。タグは1つ25セント以下)

2010年5 月19日

NASAの月面用ヒューマノイドの2足歩行映像

 1000日以内に月にヒューマノイドを送ろうというNASAの計画「Project M」。まだコンセプト・ビデオだけかと思っていたら、ちゃんとロボット実物の映像があったのですね。以下、2:06あたりからRoboNaut 2のフライト・テストの映像、2:35から2足歩行の様子。

 フライト・テストは上半身だけ。あと2足歩行は「Bipedal Software Development Platform」ということは実際の足のハードは異なってくるということかなー。

 サイトに書いてあるようにProject Mはまだ予算を完全に獲得しているわけではなく、審査もまだ。でも既存の技術でここまでできますよ、ということを示すのが、このビデオの目的のようだ。 BotJunkieより。

2010年5 月18日

グーグルのサーゲイ・ブリン氏もテレプレゼンス・ロボット活用

 今、QBの話を書いたばかりだが、最近、Willow Garageのテレプレゼンス・ロボット「Texai」も様々な場所で活躍しているようだ。以下は最近のGoogle Lunar X PRIZEの催し物でグーグルの共同創業者のサーゲイ・ブリン氏がTexaiを通じて壇上であいさつしているビデオ。


 Singularity Hubを通じて知ったのだが、記事によると、このパーティーでいろいろな人が遠隔からTexaiを操作して会場をうろうろした模様。

 Texaiも一般に発売されるのかしら、、、、。

Anybotsがテレプレゼンス・ロボットを正式発表、価格は15,000ドル

 Anybotsが今日、米国でテレプレゼンス・ロボット「QB」を正式ローンチした。リリースによると、この秋に発売で、価格は15,000ドル(今の為替レートで約140万円)。同社のホームページも新しくなり、「One-Click Commuting」(ワン・クリック通勤)というキャッチフレーズがついている。 

 日本では昨年の国際ロボット展で展示され、すでに記事になっているのだが、いよいよ本格発売することになったため、米国であらためて発表することにしたようだ。価格は結局、昨年話していた10,000ドルよりも高くなっている。日本における販売はInnovation Matrix社が行うが、同社によると日本における価格は未確定であるという。

 今日のリリースで新しい点は、Anybotsが新たにCOO(最高執行責任者)を雇ったこと。なんと、恐竜ロボットのプレオを開発・発売し、その後リストラ、そして倒産したUgobe社の元CEOだったBob Christopher氏だ。同氏はベンチャー企業の資金調達に実績があるので、その手腕が買われたのではないかと予想される。  

 写真は昨年11月にAnybotsで撮ったQB。

QB全身

ロボットとプライバシー、人間が「独り」でなくなることの影響

 ロボットがどんどん身近な存在になってくると、プライバシーの問題が出てくる。すぐに思いつくのは、①ロボットを使った監視の問題と、②家庭内のロボットが記録した情報にどれだけ外部の人間がアクセスできるかという問題だ。しかし、プライバシーに関連して第3の問題が存在することを初めて知った。

 スタンフォード大学法学部傘下のCenter for Internet and Societyのフェローで、科学技術と法律に関する研究に取り組むRyan Calo氏は第3の問題として、「social meaning(社会的意味)」 を挙げる。「社会的意味」と聞いてもすぐにはピンと来ないが、同氏は、ロボットがどんどん人間に似てきて、人間とやり取りができるようになると、以下の3つの危険が生まれると説明する。

 1. 家の中や車の中にロボットが常にいる状態は、人間が「独り」でいる時間を少なくする。これは(長期的に)人間に精神的危害を与えることになるのではないか。

 2.ロボットが人間から情報を引き出す「ロボット取調官」が将来出てくる可能性がある。ロボットは人間のような格好で人をほめたり脅したりしながら尋問でき、しかもロボットは疲れも恥も知らず、記憶力が100%。

 3.洗濯機や炊飯器をセットするのと違って、パーソナル・ロボットのセッティングは、その人の私的な趣向や性格を反映することになるが、そうした情報を現在の法律は保護しない。これは②の問題と通じるものがある。

 これはいろいろと考えさせられる。「ロボット取調官」については、先日の自分の経験を思い出した。テレプレゼンス・ロボットを使って、展示会場の来場客をインタビューする実験をしたのだが、面と向かうと聞きにくいことが聞きやすいという感覚を持った。

 Calo氏の考えは①と②を含めペーパーにまとめられており、ここからダウンロードできる。来年初めに"Robot Ethics: The Ethical and Social Implications of Robotics" という本が複数の著者によってMIT Pressから出版される予定で、そのワン・チャプターになるとのことだ。