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9 posts from 2011年6 月

2011年6 月27日

米国のロボット研究グループの広報戦略

少し前の話になりますが、日本ロボット学会誌2011年3月号の特集「研究者が『ロボット』を伝えるために」で、記事を書かせていただきました。ちょうど地震と前後して発行され、その後、ばたばたしていたため、今日になっての報告です。

私は「米国のロボット研究グループの広報戦略」という題名で文章を書きました。その内容は、私が以前からずっと書きたいと考えていたものです。日本ロボット学会の会員以外の方々にもぜひ読んでいただきたいと思い、同学会の了承を得たうえで、GetRobo Premiumに掲載しました。

地震、原発事故を経て、日本の政府、企業、大学、個人は、かつてないほどコミュニケーション能力が問われています。ロボットの研究に限らず、いつ、だれに向けて、何をどう伝えるのか。どうやって理解してもらい、味方・仲間・顧客になってもらうのか。目的を明確に定め、その目的に応じて効果的な情報発信をすることが極めて重要です。

「米国のロボット研究グループの広報戦略」では、最近の米国における広報の成功例を取り上げています。ぜひご覧ください。

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Willow Garageがテレプレゼンス・ロボット会社をスピンオフ

Willow Garage(WG)が地元の記者10人を呼んで、食事会を開いた。GetRoboも招かれ、参加した。食事会のテーマは「パーソナル・ロボット市場の行方について」。同社からはCEOのSteve Cousins氏と、Director, Open Source DevelopmentのBrian Gerkey氏。

Steve Cousins この日に知ったニュースは、同社がSuitable Technologiesというベンチャー企業をスピンオフしたこと。WG社初のスピンオフ会社だ。同社がもともと社内で利用するために作ったTexaiというテレプレゼンス・ロボットをベースに、新製品を2012年第2四半期に発売予定という。Cousins氏(右写真)によると、WG社創業者のScott Hassan氏が新会社のCEOに就任し、Hassan氏は今後そっちのほうにメーンに力を注ぐことになるとのこと。AnybotsVgoの製品と比べてどうなのか?と記者の1人が聞いたところ、「ロボットに搭載するスクリーンサイズを大きくするので、かなり違った使用感になるだろう」(Cousins氏)との話だった。新会社にはWG社以外にも出資者がいるが、その名前は明かせないという。

WG社は「ROSを大衆に広めるため」(同氏)、TurtleBotを最近発表した。写真の中で左の小さなロボットがTurtleBotだ。WG社が直接売るのではなく、これらの会社が販売し、WG社は販売量に応じてわずかな利益を得られるという。日本では、TurtleBotの土台となるアイロボットのCreate(ルンバから掃除機能を取り除いたもの)が売られていないため、TurtleBotの発売も未定。

またPR2については、全世界で現在35台程度が稼動中とのこと。このうち10台はWG社内、11台がベータ・プログラムで世界の研究機関に無償提供されているので、残りが実際にWG社が販売したものになる。

Brian GerkeyGerkey氏(左写真)は、ROSの初期ユーザーが「critical mass」に達したため、今の自分の任務は「新しくこの分野に入ってきている人々はだれであるかを見極めること」だと語っていた。また、私が「過去1年の間に、パーソナル・ロボット市場にとって最もプラスの影響をもたらした事象は何か」と尋ねたところ、「Kinect」との答だった。下の写真はそのKinectを頭に載せたPR2。

PR2 with Kinect

 

 

 

2011年6 月25日

米大統領が宣言「米国の製造業を復活へ」、次世代ロボット開発に投資

6月24日、オバマ大統領がカーネギー・メロン大学のNational Robotics Engineering Centerで演説し、米国の製造業を再活性化させると宣言した。演説の全文はここ。その中から抜粋すると、

If we want a robust, growing economy, we need a robust, growing manufacturing sector.(我々は丈夫で成長する経済が欲しいならば、丈夫で成長する製造業を必要とするのだ。)

We have not run out of stuff to make. We’ve just got to reinvigorate our manufacturing sector so that it leads the world the way it always has –- from paper and steel and cars to new products that we haven’t even dreamed up yet. That’s how we’re going to strengthen existing industries; that's how we’re going to spark new ones. That’s how we’re going to create jobs, grow the middle class, and secure our economic leadership.(作るものがなくなったわけではない。紙から鉄、車、そして今はまだ考えも及ばない製品まで、製造業が従来通り世界をリードできるよう、再活性化をしないわけには行かない。そうして既存の産業を強化し、新産業に火をつける。また、雇用を生み出し、ミドルクラスを育成し、経済的リーダーシップを確保するのだ。)

また、製造業を再活性化するための手段として、オバマ大統領はAdvanced Manufacturing Partnership(AMP)というイニシアチブを立ち上げた。これは「a national effort bringing together industry, universities, and the federal government to invest in the emerging technologies that will create high quality manufacturing jobs and enhance our global competitiveness(産学官共同で、良質の製造業雇用を創出し、国際競争力を高める国家政策)」だ。次世代の製造技術を実現する情報技術とバイオテクノロジー、ナノテクノロジーに投資する。

このイニシアチブの主な参加者は、以下の通り。

The AMP will be led by Andrew Liveris, Chairman, President, and CEO of Dow Chemical, and Susan Hockfield, President of the Massachusetts Institute of Technology. Working closely White House’s National Economic Council, Office of Science and Technology Policy and the PCAST, AMP will bring together a broad cross-section of major U.S. manufacturers and top U.S. engineering universities. The universities initially involved in the AMP will be the Massachusetts Institute of Technology, Carnegie Mellon University, Georgia Institute of Technology, Stanford University, University of California-Berkeley, and University of Michigan. The manufacturers initially involved in the AMP will be Allegheny Technologies, Caterpillar, Corning, Dow Chemical, Ford, Honeywell, Intel, Johnson and Johnson, Northrop Grumman, Procter and Gamble, and Stryker.

具体的なプロジェクトがいくつか挙がっているが、そのうちロボットに直接関連するのは、次の項目。

Investing in next-generation robotics: The National Science Foundation, National Aeronautics and Space Administration, National Institutes of Health and the Department of Agriculture are coming together to make available today $70 million to support research in next generation robots. These investments will help create the next generation of robots that will work closely with human operators – allowing new ability for factory workers, healthcare providers, soldiers, surgeons and astronauts to carry out key hard-to-do tasks.

次世代ロボットへの投資:全米科学財団(NSF)、米航空宇宙局(NASA)、国立衛生研究所(NIH)、農務省が共同で、次世代ロボットの研究に対して7,000万ドル(約60億円)を助成する。これらの投資は、人間のオペレーターと密接に働く次世代ロボットの開発を支援する。こうしたロボットは、工場労働者やヘルスケア従事者、兵士、外科医、宇宙飛行士に対し、難しい作業を遂行するための新たな機能をもらたす。

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ソフト・ネット産業で世界を圧倒的にリードしてきた米国、その一方で「Made in USA」のモノを見つけるのが本当に難しいこの米国で、今この時期に、国際競争力強化と雇用創出のためには、製造業の復活が欠かせないとの判断が下されたことに、GetRoboは大きく心を動かされています。

製造業はロボットの面からだけでなく、材料、エネルギーなどの面からも転換期を迎えています。既存の製造技術を徐々に改善して品質を高めてきた時代から、抜本的にモノの作り方を変革する時代に。「ゲームのルール」が変わるのです。それを機に、米国が「新しい製造業」(今回はAdvanced Manufacturingという言葉遣いをしている)で必ずやリーダーになって見せるという宣言にほかなりません。

2011年6 月22日

安川電機と提携した米ロボット・ベンチャー

米テネシー州にあるベンチャー企業、Universal Roboticsについて、Wall Street Journal日本版のコラムで書きました。

実はこの会社は、昨年、Humanoids 2010の取材で初めてテネシー州を訪れる際に、「Nashville」と「robot」でネット検索したら出てきた会社でした。ナッシュビル滞在中は会議の取材で忙しすぎて、この会社とコンタクトを取ることができなかったのですが、ずっと気になっていた会社で、ようやく今回、電話取材する機会が持てました。

Moto Head 気になっていた理由は、やっていることが、元MIT教授のロドニー・ブルックス氏が始めたHeartland Roboticsに似ていると感じたからです。

今回の電話インタビューで、Universal Robotics社のCEOにこの件を確認したところ、「ある程度はかぶるが、別の市場を狙っている」とのこと。Universal社は安川電機のような従来の産業用ロボットにソフトを載せることを考えているのに対し、Heartlandは独自のハードウエア・プラットホームを持ち込もうとしている点が違うと。

そして私が「でも、Universal社のソフトも、安価なセンサーで制御できるようにするという意味では、Heartlandが狙っている、ロボットを使ってみたいが従来の産業用ロボットは値段が高すぎて買えないという顧客層を対象とするようになるのではないか」と尋ねたら、答は「Ultimately that's right but if he (=Rodney Brooks) comes up with a piece of equipment that can be priced correctly, you know, we may end up working with them.(笑)」とのことでした。そしてブルックス氏とUniversal社の創業者らは友達だそうです。

右上の写真はMOTOMAN用にUniversal社が作ったヘッド(実験機)。下はロボットが見ているもの。写真はいずれもUniversal社提供。

7RoboticsCalib

2011年6 月17日

【お知らせ】第11回レスキューロボットコンテスト、神戸で開催

Rescuerobotposter  レスキューロボットコンテスト実行委員会よりお知らせ。 「inrevium杯 第11回レスキューロボットコンテスト」の競技会予選が6月26日に神戸で開催されます。本選は8月6,7日。詳細はこちら

以下、主催者からのメッセージをコピーします。

阪神・淡路大震災を機に本格的に始まった日本のレスキューロボットの研究は、確実に進んでいます。しかし、今回の震災では津波被害への対応など実用化にはまだ多くの課題があることがわかりました。
レスコンは、レスキューロボットの研究から派生して生まれました。その目的は、コンテストの開催だけにとどまらず、防災・減災について広く啓発し,そして,将来レスキューロボットのように人に役立つモノをつくりたいという子供たちを育むことです。このコンテストを見たり、参加したりした子供達が大きくなった時代には、もっと災害に強い世の中になっていることを目指し、「技術を学び 人と語らい 災害に強い世の中をつくる」という理念の下に毎年活動を続けています。
なお、8月の本選の際には、震災復興応援特別企画を実施します。

 GetRoboは昨年のレスキューロボットコンテスト予選を取材に行く機会がありました。そのときのリポートはここです。