セラピー・ロボットについて考える
パロが有名ですが、このところ、米国でもロボットをセラピーに利用しようという動きがいろいろ出てきているようです。それで、じゃあ、今の動物を使ったアニマル・セラピーって実際どんな感じなのだろうか、というのに興味があり、初めて現場を見学させてもらう機会をいただきました。
大きいけれど、非常におとなしいシベリアンハスキーのモンタ君は毎週水曜日、飼い主のノリコさんといっしょにシニアホームのEmeritusを訪問し、お年寄りの方々と触れ合います。 軽度の認知症の方が多い施設のようでした。
モンタ君はノリコさんといっしょに、ロビーや集会室に集まって塗り絵やトランプなどをしているグループをまわります。中には、モンタ君が来るのを毎週楽しみにしているご老人もいらっしゃいます。耳や毛をかなり強く引っ張られることもありますが、モンタ君は全く動じません。モンタ君は、お年寄りの肌に傷をつけないように、前足に袋をかぶせています。
見学しながら、モンタ君の仕事をロボットで置き換えたらどうなるかについて考えました。以下、気付いた点を箇条書きにします。
1. モンタ君が毎週この仕事を楽しみにしている(その様子は到着してドアのところへ超速球で向かう姿でよく分かりました)理由は、オヤツをもらえるためです。ノリコさんがドッグビスケットを持ち歩き、お年寄りの方々に渡して、モンタ君にやるよう促します。
この「餌を与える」という行為が、実は人間側にとっても重要であるように感じました。お年寄りはモンタ君にオヤツを与えることに大喜びなのです。時には、お年寄りがモンタ君にチョコレートクッキーなど人間のお菓子をやってしまい、そういった日には後からモンタ君は腹痛に悩まされるそうです。
ですので、セラピー・ロボットには「餌をもらう」機能があってもいいのかな、と思いました。(パロには、哺乳瓶でミルクをあげていましたっけ?)
2. モンタ君はもちろんですが、それと同等に、ノリコさんの存在が重要だと感じました。認知症の方々は先週もモンタ君が来たことなど忘れてしまっています。「名前は」「年は」といった質問は繰り返され、おしゃべりが展開します。ノリコさんの暖かいコミュニケーション能力がなければ、モンタ君効果は半分以下でしょう。
ロボットを使ったセラピーも、その提示の仕方が重要だと思いました。
3. 塗り絵をしたりペーパーフラワーを作っている高齢者の方々を見て、「一日をどう過ごすか」というのがこうした場所では重要なのだ、と強く感じました。ケアする側の人間のリソースは常に限られていますから。高齢者の方々が一日を穏やかに過ごすために何かできるロボットは需要があると思いました。
4. あと、当たり前ですが、モンタ君のように落ち着いていてしつけの良い犬はそうたくさん世の中にいないし、病院などは動物は入れない。米国はベビーブーマーが徐々に高齢化し、こうした施設が増加しているので、ロボットが動物を代替し、活躍する場は増えると思いました。
写真は仕事を終えたモンタ君が家路に着くところ。ノリコさんのMINIの助手席はモンタ君の特等席。
ノリコさん、モンタ君、ありがとうございました。