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2010年10 月12日

ヘルスケア分野のロボット会社、いろいろ

 10月20日にボストンでヘルスケア・ロボティクスに関する会議が開かれるという。講演者のリストを見て、今までに知らなかった会社をピックアップした。

 ☆Hocoma:スイスのリハビリ・ロボットの会社

Hocoma 
 ☆Corindus Vascular Robotics:経皮冠動脈インターベンション(って何ですか?)用のシステム

 ☆iWalk:義足

 ☆Myomo:リハビリ

 ☆Tibion Bionic Technologies:リハビリ

 あと、軍事ロボットの会社と思っていたら、Vecna Technologiesはヘルスケアもやっているのか。

 講演者の中で、ハーバード大学医学部のNobuhiko Hata先生というのは日本の方ですね。

2010年9 月22日

CMUのスピンオフ、Interbots社

 カーネギー・メロン大学(CMU)からスピンオフしたInterbotsという会社があることを初めて知った。この記事によると、自閉症児の治療に同社のロボット玩具「Popchilla」が使われるようになったという。Popchillaの動画をYouTubeで見つけた。



  PopchillaとiPhoneを使った日本語学習システムのビデオもあった。(バックの音楽が、よく高層ビルの上のほうにある和食レストランで流れているようなやつ。)



 会社の歴史を見ると、2005年の設立でそんなに新しくない。CMU&ロボットを活用した自閉症研究といえば、Keeponだが、、、、。   

2010年8 月 5日

セラピー・ロボットについて考える

 パロが有名ですが、このところ、米国でもロボットをセラピーに利用しようという動きがいろいろ出てきているようです。それで、じゃあ、今の動物を使ったアニマル・セラピーって実際どんな感じなのだろうか、というのに興味があり、初めて現場を見学させてもらう機会をいただきました。

 大きいけれど、非常におとなしいシベリアンハスキーのモンタ君は毎週水曜日、飼い主のノリコさんといっしょにシニアホームのEmeritusを訪問し、お年寄りの方々と触れ合います。 軽度の認知症の方が多い施設のようでした。

 モンタ君はノリコさんといっしょに、ロビーや集会室に集まって塗り絵やトランプなどをしているグループをまわります。中には、モンタ君が来るのを毎週楽しみにしているご老人もいらっしゃいます。耳や毛をかなり強く引っ張られることもありますが、モンタ君は全く動じません。モンタ君は、お年寄りの肌に傷をつけないように、前足に袋をかぶせています。

 見学しながら、モンタ君の仕事をロボットで置き換えたらどうなるかについて考えました。以下、気付いた点を箇条書きにします。

1. モンタ君が毎週この仕事を楽しみにしている(その様子は到着してドアのところへ超速球で向かう姿でよく分かりました)理由は、オヤツをもらえるためです。ノリコさんがドッグビスケットを持ち歩き、お年寄りの方々に渡して、モンタ君にやるよう促します。

 この「餌を与える」という行為が、実は人間側にとっても重要であるように感じました。お年寄りはモンタ君にオヤツを与えることに大喜びなのです。時には、お年寄りがモンタ君にチョコレートクッキーなど人間のお菓子をやってしまい、そういった日には後からモンタ君は腹痛に悩まされるそうです。

 ですので、セラピー・ロボットには「餌をもらう」機能があってもいいのかな、と思いました。(パロには、哺乳瓶でミルクをあげていましたっけ?)

2. モンタ君はもちろんですが、それと同等に、ノリコさんの存在が重要だと感じました。認知症の方々は先週もモンタ君が来たことなど忘れてしまっています。「名前は」「年は」といった質問は繰り返され、おしゃべりが展開します。ノリコさんの暖かいコミュニケーション能力がなければ、モンタ君効果は半分以下でしょう。

 ロボットを使ったセラピーも、その提示の仕方が重要だと思いました。

3. 塗り絵をしたりペーパーフラワーを作っている高齢者の方々を見て、「一日をどう過ごすか」というのがこうした場所では重要なのだ、と強く感じました。ケアする側の人間のリソースは常に限られていますから。高齢者の方々が一日を穏やかに過ごすために何かできるロボットは需要があると思いました。

Monta 4. あと、当たり前ですが、モンタ君のように落ち着いていてしつけの良い犬はそうたくさん世の中にいないし、病院などは動物は入れない。米国はベビーブーマーが徐々に高齢化し、こうした施設が増加しているので、ロボットが動物を代替し、活躍する場は増えると思いました。

 写真は仕事を終えたモンタ君が家路に着くところ。ノリコさんのMINIの助手席はモンタ君の特等席。

 ノリコさん、モンタ君、ありがとうございました。

2010年7 月23日

シリコンバレーのハイテク病院にロボット導入

 地元シリコンバレーのEl Camino 病院が改装され、ロボットなどハイテク機器が導入されたという話がWSJ日本版に出ている。

 ビデオ冒頭と最後にちらっとAethonのロボットが登場。これはピッツバーグの会社。

 あと、ロボットらしいものでは、CyberKnife(サイバーナイフ)という名の、放射線治療の精度を高められるシステムがあるのですね。スタンフォード大学の教授などが開発し、Accurayというシリコンバレーの地元の会社が販売している。

2010年5 月13日

人工筋肉でロボットと人間の違いを明らかにする

 Jun Ueda ジョージア工科大学では機械工学科の上田淳助教授を訪問した。同助教授は京都大学から奈良先端科学技術大学院大学、マサチューセッツ工科大学を経由し、2年前に現在のポジションに着任した。

 上田助教授は現在、ピエゾ素子を使った新しいタイプの人工筋肉(アクチュエータ)の開発に取り組んでいる。従来の圧縮空気を使った人工筋肉や形状記憶合金を用いたものよりも反応が早く、より人間の筋肉に近い動きを実現できるのが利点だ。個々のピエゾ素子は電圧に対して変位量が小さく、大きく伸び縮みできないため、そのままでは使えない。そこで、複数の素子をつなげてその上に機械部品をかぶせる構造にし、全体として大きな動きを出せるようにしたのが特徴だ。小さな素子を多数つなげた「Cell構造」は、部分的に壊れても置き換えられ、全体の太さや長さを変えられるといった有利性も持つ。

Actuator and model

(写真:ピエゾ素子[右]と人工筋肉のモデル[左])  

 Actuator 同助教授がこの新しいアクチュエータを使って調べたいのは、人間の個々の筋肉の活動だ。人間の筋繊維は脳から与えられる電気信号(パルス)によってぎゅっと縮むが、これを人工筋肉で再現しようとすると実は難しい。人工筋肉に等間隔でパルスを与えると、カクカクとした動きになってしまう。人間の動きが滑らかなのは、パルスが何らかちょうど良いタイミングで送られているからではないかと考えられる。

  そしてここからがおもしろい。上田助教授は次のように考える。「1つひとつのパルス(確定的な信号)に対して、どの細胞が反応するかは、確率的なのではないか。パルスによって反応する細胞が変わってくるが、細胞の数が多いため、全体として人間の動き(アウトプット)は確定的になる。こう考えると腕を振るといった人間の動きが1回1回ぶれることも説明がつく。ロボットの動きはぶれない。それが人間とロボットの違いであり、だから新アクチュエータを使って、人間の筋肉の動きを工学的に再現してみたい。ナチュラルな動きとメカニカルな動きの差が分かればおもしろい」

 一方、筋活動の研究を実世界で応用することも考えている。脳卒中や脊髄の損傷を経験した患者は、実際にどこの筋肉がダメージを受けているかは個々人でまちまちで、その場所を特定するのが難しい。そこで、個別の筋肉に対して負荷を与えることでその場所を診断し、問題のある筋肉を選択的にリハビリできるようにしたい。診断とリハビリの両面からこうしたことを実現する「power (force) resisting robot」を開発しようというのが上田助教授の目標だ。

 このような新しい機械の実用化には異分野の研究者の協力が欠かせない。日米の両方で研究開発に従事してきた同助教授が「日本に比べ、米国では工学系の研究者と医師・病院が協力しやすい」と話していたのも印象深かった。